スポーツ飲料水はTPOで選べ

前に述べたように、脱水状態になったとき、真水を飲んでも途中でからだが受けつけなくなってしまう。
発汗で失った水分の半分しか飲むことはできないのである。
しかし、水に0.2~0.45パーセントの食塩を溶かすと、ほぼ必要量の水を飲むことができ、すみやかに体力が回復する。
また、塩分をとらずに真水だけ飲んでいると、体内のイオンバランスがくずれ、筋肉のまわりにある体液のイオン濃度が一定でなくなって熱痙攣などを起こすこともある。

スポーツ飲料はこの生理学的事実から生まれたものである。
細胞内液の脱水を回復するには、血液と塩分組成がほぼ同じリンゲル液がふさわしい。
普通の状態では、スポーツ飲料はそれほどおいしいとは思えないが、運動して汗をかいた後や風呂上り、あるいは二日酔いのときに飲むと、すこぶるおいしく感じる。

アメリカでかつてボランティアを募って行われた実験がある。
まず二つのグループに分け、一方には水は1リットル与え、他方には体液の浸透圧と同じに調整した水を与えた。
吸収速度を測定してみると、真水を与えたグループでは、半分の水が血液中に入る時間が30分だったのに対し、調整した水を与えた場合には、それが3分だったという。
吸収速度に10倍の開きがあったのである。

食物を口から摂取できない患者には、腕の血管からリンゲル液を直接注入する。
このリンゲル液を口から飲むようにしたのがスポーツ飲料なのである。
スポーツ飲料に合まれている電解質にはナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどがあり、各メーカーによって多少のバラツキはあるが、おおよそ人間の体液の電解質と似た構成になっている。
他に筋肉疲労や精神的疲労の回復に効果のあるビタミンCなどのビタミン類、甘味とカロリーになる糖類、そして、酸味料としてクエン酸などが合まれている。

浸透圧は、平常時の体液の浸透圧より少し高めにしてある。
これは脱水時の体液と同じ状態にすることを基準としたからであろう。

これまで、スポーツ飲料の成分はどれもほとんど同じだったが、「ポストウォーター」や「ポカリスエット・ステピア」など、それぞれ特徴があるものも発売されている。
「ポストウォーター」は、ナトリウムが人っておらず、糖分を抑えた低カロリー飲料となっている。
浸透圧は、人の体液と同じである。
脱水状態で飲むものではないので、塩分もカロリーも必要ないというわけである。

「ポカリスエット・ステビア」も、ステビアという植物由来の甘味料を使い低カロリーにしている。

同じ水分の補給といっても、トライアスロンのようなハードな運動をした場合と、軽い運動をした場合では、からだに必要な水の種類が違ってくる。
トライアスロンでは水分の補給と同時に、エネルギーの補給も必要であるから、高カロリーのスポーツ飲料が要求される。
一方、短距離走などの短時間で終わるスポーツでは、水分の補給だけが求められるから、低カロリーのスポーツ飲料がいいことになる。

スポーツ飲料にも、いろいろな種類があり、自分のからだに合ったものを選ぶ必要がある。
運動に慣れていない人の汗ほど塩分が多く、からだを鍛えるほど汗の成分が水に近くなってくるといわれている。
人によって、からだが必要とする水が異なることを自覚して、ウォーターサーバーを選ぶ際も使っている水の成分をきちんと確認してほしい。

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